【特許紹介】要介護者が日常動作をできるようになる支援をする特許発明(元気広場)/起居動作獲得支援

 今回は、要介護者の動作の支援に関するの特許発明を紹介します。

 従来、要介護者が日常的な動作(起居動作)を獲得するための技術がないという問題があります。

 この発明では、部位の移動が所定条件を満たさない場合に、すべき運動の情報を提示します。これにより、その提示された動作をできるように練習することで、ユーザは、その起居動作をすることができるようになります。



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要介護者が日常的な動作(起居動作)を獲得するための技術がない問題

 近年、高齢者など、介護を必要とする人、つまり要介護者が増加しています。

 要介護者は、寝返りや起き上がりなどの日常的な動作(起居動作ともいう)ができない、または、支援が必要です。そのため、要介護者が日常的な動作をできるようにする、つまり要介護者に起居動作を獲得させることができれば、要介護者の増加を抑制し、または減少させることにつながります。

 しかし、従来、日常的な動作をすることができない要介護者に、そのような動作を獲得させる技術がないという問題があります。

部位の移動が条件を満たさない場合に、すべき運動の情報を提示


 この発明は、起居動作の獲得を支援する装置の発明です。例えば、iPadのようなタブレットやパソコンの形状が想定されます。

 前提として、対象動作の動作をするときの人の肩、腰などの部位の位置の移動についての条件があらかじめ定められています。

 ここで、対象動作とは、起居動作のことです。具体的には「寝返り」や「立ち上がり」のような動作のことです。

 そして、実際に対象動作をしている対象者を撮影して、その対象者の肩、腰などの部位の位置を取得します。

 部位の位置を取得したら、その部位の位置の移動量を算出し、その部位の移動が上記の条件を満たすかどうかを判定します。満たさない場合には、その対象動作をできるようになるための運動を画面に表示させます。

 例えば、寝返りの動作のうち「頭部の移動」ができないことが条件の判定によってわかった場合には、「頸部回旋運動」と画面に表示させます。

 ユーザは、その表示された運動をできるようになるように、自力で、または解除を受けながら練習します。表示された運動をユーザができるようになれば、最終的にユーザが寝返り動作をできることとなります。

 このようにして、対象者が対象動作をすることができるようになることを支援します

 特許第6429301号 元気広場株式会社
 出願日:2018年1月11日 登録日:2018年11月9日

【課題】
人が動作を獲得することを効率よく支援する。
【請求項1】
 対象者が対象動作を獲得することを支援する動作獲得支援装置であって、
 前記対象動作を試みている対象者が複数の時点において撮影された複数の立体画像を取得する画像取得部と、
 前記複数の立体画像に基づいて、前記複数の時点における前記対象者の身体の1 以上の部分の位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
 前記位置情報が、人が前記対象動作をするときの前記1 以上の部分の位置に関する第一条件を満たすか否かを判定する判定部と、
 前記位置情報が前記第一条件を満たさない場合に、前記対象者が前記対象動作を獲得するためにすべき所定の運動を示す情報を提示する提示部とを備え、
 前記第一条件は、人が前記対象動作を開始してから終了するまでの前記1 以上の部分それぞれの移動に関する第二条件を含む1 以上の第二条件を含み、
 前記判定部は、
 前記位置情報に基づいて、前記対象者が前記対象動作を試みているときの前記1 以上の部分の移動が、前記1 以上の第二条件を満たすか否かを判定し、
 前記提示部は、
 前記1 以上の部分のうちの一の部分が前記第二条件を満たさない場合に、満たされなかった前記第二条件に対応して予め定められた前記所定の運動を示す情報を提示する
 動作獲得支援装置。

今日のみどころ

 日常的な動作ができない人が、その動作を獲得するのを支援する。こういう支援を情報端末ですることができるんですね。

 ちょっと私の頭がかたくて、最初は実際に人が手助けをしてあげる光景しかイメージできなかったです。そうではなくて、カメラで撮影した画像から計算して運動できるように支援するという技術です。クラウドで実施する形態も考案されています。

 要介護の認定がなくなれば、介護保険料の支払いを減らすことにつながるので、社会全体としてもよいですね。