今回は、超音波診断装置の設定情報の共有に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、超音波診断装置の共有すべき設定情報を共有し、固有情報を維持する必要があります。
本発明では、他の装置との間で設定情報を共有した後で、バックアップデータから固有情報をコピーします。これにより、複数の装置間で共有すべき設定情報を共有し、固有の情報を維持することができます。
超音波診断装置の共有すべき設定情報を共有し、固有情報を維持する必要がある
医用画像を撮影する撮影装置があります。医用画像の例は超音波画像で、その場合、撮影装置は、超音波診断装置です。
医用画像撮影装置は、多くの設定情報があります。設定情報には、各装置で共通化されている情報(病院ごとのカスタマイズなど)と、各装置で固有の情報(IPアドレスなど)があります。
複数の医用画像撮影装置の設定情報を共有する場合、複数の装置間で共有すべき設定情報を共有し、固有の情報を維持する必要があります。
設定情報を共有した後で、バックアップデータから固有情報をコピー
この発明の装置(医用画像撮影装置)では、複数の装置間で共有すべき設定情報を共有し、固有の情報を維持することができます。
装置のメモリには、その装置の固有情報と共通情報を含むデータ(第1のデータ)と、そのバックアップデータが保存されています。
また、他の装置のメモリには、その「他の装置」の固有情報と共通情報を含むデータ(第2のデータ)と、そのバックアップデータが保存されています。
そして、上記装置に第2のデータが入力された場合、まず、メモリ内の第1のデータを第2のデータに書き換えます。その後、メモリ内の固有情報を、バックアップデータに含まれている固有情報に書き換えます。
上記装置に第2のデータが入力されるときには、例えば、他の装置から第2のデータがサーバへ送信され、その後に、サーバから第2のデータが装置に送信されます。
このようにすることで、他の装置から自装置へ共通情報をコピーしながら(共通情報を共有しながら)、自装置の固有情報を維持することができます。
特許第6865868号 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
出願日:2020年1月31日 登録日:2021年4月28日
複数の医用画像撮影装置の間で設定情報を共有しつつも、装置の各々が有する固有の情報については維持することをより簡便に実現する。
【請求項1】
被写体の医用画像を撮影する医用画像撮影装置であって、
メモリ及びプロセッサを備え、ネットワークを介して他の医用画像撮影装置と接続されており、
前記メモリには、前記医用画像撮影装置に設定される第1の設定情報を含む第1のデータであって、前記第1の設定情報が、前記医用画像撮影装置に固有の第1の固有情報と前記他の医用画像撮影装置と共有される第1の共有情報とを含む第1のデータと、前記第1の固有情報のバックアップデータが記憶されており、
前記他の医用画像撮影装置には、該他の医用画像撮影装置に設定される第2の設定情報を含む第2のデータであって、前記第2の設定情報が、前記第1の固有情報とは異なり前記他の医用画像撮影装置に固有の第2の固有情報と、前記第1の共有情報と共有される第2の共有情報とを含む第2のデータが記憶されており、
前記プロセッサは、
前記第2のデータが前記ネットワークを介して入力されると、前記メモリに記憶された前記第1のデータを前記第2のデータに書き換え、
前記バックアップデータにおける前記第1の固有情報を読み出し、
前記第1の固有情報から書き換えられた前記第2の固有情報を、前記バックアップデータにおける前記第1の固有情報に書き換える、医用画像撮影装置。
今日のみどころ
複数の超音波診断装置の設定の一部を維持しながら、共有することができる発明です。
請求項に「第1」「第2」となっていろいろと複雑に書かれているように見えますが、よく読むととてもシンプルであたりまえのことのように思ってしまいます。
製品開発や技術開発の際に具体的な課題に直面して、それを解決しようと考えた結果、それが従来にない課題や解決方法だったということがあり得ます。意外とよくあります。そういうのを狙っていくのが、特許をとるための近道ということもあると思います。