過去のデータに基づく来客予想率から記念品の無駄を排除する特許発明を紹介

図1B

 今回は、集客方法に関する発明を紹介します。

 従来、収納箱を使う集客方法で記念品が余ったり不足したりする問題がありました。

 この発明の集客販売促進方法では、過去のデータに基づく来客予想率により記念品の必要数を計算します。これにより、記念品が余ったり不足したりする問題を解決します。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

収納箱を使う集客方法で記念品が余ったり不足したりする問題

 商品の販売店に顧客を来店させるために、新聞の折り込み、ダイレクトメールを用いる方法が従来からあります。

 また、従来、組み立てると収納箱になる折り畳み状態の箱(収納手段)を新聞の折り込みや宅配便によって配達して、顧客がそれをもって来店して記念品をその収納箱につめこむという方法がありました。

 しかし、収納箱の配達数量が大量になりると、来客数の予想が困難になり、顧客が収納箱に詰め込む記念品が余ったり不足が生じたりして、販売促進がうまくいかないという問題があります。

過去のデータに基づく来客予想率により記念品の必要数を計算

図1A


図2

 この発明の集客販売促進方法では、従来と同じ、組み立てると収納箱になる折り畳み状態の箱(収納手段)を顧客に配達します。顧客は、その箱をもって来店し、店が用意する来店記念品をその箱に詰め込んで帰ることができます。

 店では、来店記念品の種類ごとに、過去の来店顧客数、収納手段の配達方法、配達数量などを基にして、収納箱を持って来客する来客予想率を計算します。そして、収納箱の配達数量に来客予想率をかけて、来店記念品の必要数を計算します。

 あとは、計算した必要数の来店記念品を準備するコストとともに、収納箱のコスト、配達コストなどを算出して、コストの総和を算出するという流れです。

 いろいろな情報が登場しますが、来客予想率を使って来店記念品の必要数を計算するところが従来にない技術ポイントだと思います。

 特許第6268621号
 出願日:2016年12月7日 登録日:2018年1月12日

【課題】
集客販売促進方法における店での来店記念品の準備数の過不足を防止し、適切な顧客の来客予想率を得るようにし、無駄の生じることのない集客販売促進方法を提供する。
【請求項1】
 顧客が持ち帰ることができる来店記念品を収納するための収納手段を、来客を希望する顧客宛に配達し、収納手段の配達を受けた顧客が店へ来客した際、収納手段に店側が用意した所定の持ち帰り来店記念品を収納して、持ち帰ることができるようにし、顧客の店への来客を案内促進する集客販売促進方法であって、
 必要な作業を電子計算機により行うに際し、顧客宛に収納手段を配達する配達方法、配達に要する費用、配達する収納手段の単価、来店記念品の種類、配達送り先が印刷もしくは貼付可能なイベント案内手段の単価、前記収納手段及びイベント案内手段のそれぞれについての顧客への配達数量、顧客が持ち帰ることができる来店記念品の単価、をそれぞれ入力する入力ステップと、
前記電子計算機が、顧客宛に収納手段を配達する方法及び来店記念品の種類毎に過去の来店顧客数を記憶したデータベースを用いて、前記入力ステップで特定された収納手段を配達する方法及び来店記念品の種類と顧客への配達数量を基にして来客予想率を計算する来客予想設定ステップと、
前記電子計算機が、収納手段の配達数量に来客予想率を乗算して、顧客が持ち帰る来店記念品の予定必要数を計算する予定必要数計算ステップと、
前記電子計算機が、上記ステップにより得られた情報を用いて、集客販売促進を行う店の集客に必要な必要コスト金額を計算し、店の必要コスト金額を、見積書として出力する出力ステップとを備え、
 集客販売促進方法を行う店の集客に必要な必要コスト金額を電子計算機により計算するコスト計算ステップでは、入力ステップで入力された項目をもとに、
 収納手段の単価に収納手段の顧客への配達数量を乗じて収納手段のコストを得、イベント案内手段の単価にイベント案内手段の顧客への配達数量を乗じてイベント案内手段のコストを得、
 顧客が持ち帰ることができる来店記念品の単価に予定必要数を乗じて来店記念品のコストを得、配達に要する費用に配達数量を乗じて配達に要する費用を得、収納手段のコストと、イベント案内手段のコストと、来店記念品のコストと、配達に要する費用と、の総和を得るステップを含む、集客販売促進方法。

今日のみどころ

 スーパーなどの集客にうまく使えそうなおもしろいアイデアだと思います。

 特許的な観点では、ビジネスのやり方をコンピュータで実現する形で記載した、ビジネスモデル特許の典型と言えると思います。ビジネスモデル特許の請求項や明細書の書き方の参考になります。

 なお、この特許は、下記のサイトの管理人のシゴクリ大橋様からのリクエストを受けて読んでみました。他のみなさまもリクエストください。できる範囲で紹介したいと思います。

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