今回は、都市ガスの漏れ(漏洩)の検知に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、都市ガス以外の可燃性ガスの影響を軽減できないという問題があります。
この発明では、ガスセンサと匂いセンサの検知結果に基づいてガス漏洩を検知します。これにより、都市ガスの漏洩をより正確に検知することができます。
都市ガス以外の可燃性ガスの影響を軽減できない
都市ガスの漏洩を検知するセンサが用いられています。
都市ガスの漏洩を検知するセンサには、主成分であるメタンを検知するために、メタン以外の可燃性ガス(雑ガス)を除去する雑ガス除去層が設けられています。
しかし、雑ガス除去層だけでは、都市ガス以外の可燃性ガスの影響を十分に軽減できないという問題があります。
ガスセンサと匂いセンサの検知結果に基づいてガス漏洩を検知
この発明のガス漏洩検知システムでは、可燃性ガスの成分を検知するガスセンサと、匂いセンサとを用いて可燃性ガスの漏洩を検知します。
具体的には、ガスセンサによって可燃性ガスの可燃性成分(例えばメタン)を検知します。
また、匂いセンサによる匂いの検知化結果によって、空気の匂いが都市ガスによるものであるか否かを判断します。
そして、ガスセンサの検出結果と匂いセンサの検知とに基づいて、都市ガスの漏洩を検知します。具体的には、ガスセンサの検出結果と匂いセンサの検知との両方で都市ガスが検知された場合に、都市ガスの漏洩を検知します。
このようにすることで、都市ガスの漏洩をより正確に検知することができます。
特許第6726376号 東京瓦斯株式会社
出願日:2020年3月13日 登録日:2020年6月30日
従来の可燃性ガス検知センサの検知結果だけによりガスの漏洩を検知する場合に比べ、ガス漏洩をより正確に検知することができる漏洩検知システム等を提供する。
【請求項1】
空気中に含まれる可燃性ガスの成分を検知して反応するガスセンサと、
複数の匂い分子を検知して匂いを識別する匂いセンサと、
前記匂いセンサにおける、可燃性ガスと他の匂い分子との反応の違いによる匂い検知結果を取得する取得手段と、
可燃性ガスの匂い検知結果と前記匂いセンサにより検知された匂いとの匂い検知結果とに基づき、当該匂いセンサにより検知された匂いが、可燃性ガスによるものであるか否かを決定する決定部と、
前記ガスセンサによるガス検知結果と前記取得手段により取得した前記匂い検知結果とを用いて可燃性ガス漏洩の有無に関する情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするガス漏洩検知システム。
今日のみどころ
都市ガスの漏洩を検知するために、ガスセンサに加えて匂いセンサを用いるという発明です。
従来はガスセンサだけだったところに、匂いセンサも用いるという点が特許のポイントであり、すごくシンプルです。
シンプルなアイデアって、当たり前すぎて特許を取ろうという方向に進まない場合もあります。でも、シンプルなアイデアをしっかり権利化することができると、広い技術的範囲をもつ特許を得ることができます。すばらしい。