【特許紹介】工事現場を撮影した画像から工程を特定して進捗管理に役立つ特許発明(大林組)を紹介

 今回は、工事現場などの進捗管理に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、建築工事などの進捗を効率的に判定することに改善の余地があります。

 この発明では、工事現場を撮影した画像から工程を特定して提示し、また、工程を特定できないときは候補を提示します。これにより、建築工事などの進捗状況を効率的に判定することに貢献します。



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建築工事などの進捗を効率的に判定することに改善の余地あり

 建築や土木等の現場において、工事の前後や、工事の実施途中の写真を撮影することがあります。

 その撮影された写真は、工事の進捗の状況の管理や、施工状況の確認に使われます。

 しかし、建築工事などの進捗を効率的に判定することに改善の余地がありました。

工事現場を撮影した画像から工程を特定して提示


 この発明のシステム(状況判定システム)は、建築工事などの進捗状況を効率的に判定することに貢献します。

 まず、このシステムでは、工事現場の工程で表面が露出している建築要素(つまり、写真に写る建築要素)と、その工程要素が写真の画像内で占める面積割合とを記憶しています。

 ここで、工程というのは、例えば「コンクリート打設前」または「断熱前」などです。また、建築要素というのは、「鉄筋」または「コンクリート」などです。

 そして、実際の工事現場を撮影した写真において、その写真に写っている建築要素の面積割合を算出し、その面積割合から現時点の工程を特定します。

 工程を特定できた場合には、その特定できた工程を端末に出力します。

 工程を特定できなかった場合には、写真に写っている工程要素から工程の候補を特定して端末に出力します。
 このようにすることで、撮影画像から工程の自動判断ができるときにはその工程を出力し、撮影画像から工程の自動判断ができないときは、工程の候補から工程を特定させることができます。

 特許第6700580号 株式会社大林組
 出願日:2015年12月10日 登録日:2020年5月8日

【課題】
建築工事等の進捗状況を効率的に判定するための状況判定システム、状況判定方法及び状況判定プログラムを提供する。
【請求項1】
 工事現場における工程において表面が露出している建築要素と、この建築要素が画像内で占める可能性がある面積割合の範囲とを関連付けて記録した要素情報記憶部と、
 工事現場を撮影した撮影画像を記録する画像記憶部と、
 クライアント端末に接続された制御部とを備えた状況判定システムであって、
 前記制御部が、
 前記画像記憶部に記録された撮影画像において、画像情報に基づいて領域を分割し、前記領域毎に含まれる建築要素を特定し、
 前記建築要素を、前記建築要素毎に集計し、この集計に基づいて、建築要素毎の面積割合を算出し、
 前記要素情報記憶部を用いて、建築要素の前記算出した面積割合に基づいて工程を特定し、
 前記クライアント端末に、前記特定した工程を出力し、
 前記算出した面積割合に基づいて工程を特定できない場合には、前記撮影画像において特定した建築要素の少なくとも1 つが含まれる工程を工程候補として特定し、
 前記特定した工程候補を前記クライアント端末に出力することを特徴とする状況判定システム。

今日のみどころ

 工事現場を撮影した画像から、工事現場の工事の進捗管理を自動的にすることができる発明です。工事現場を撮影した画像から進捗管理をすることができれば、進捗管理のための作業がけっこう楽になると思います。

 機械学習を使うアイデアも盛り込まれています。工事現場のIT化もどんどん進んでいますね。